健康

GABA(ギャバ)は血圧を下げる?効果的な摂取法を解説

「最近、血圧が気になり始めた…」「健康診断で高めの血圧を指摘されたけど、薬には頼りたくない」「GABA(ギャバ)が血圧に良いと聞いたけど、本当?」

このように、血圧の管理に悩みを抱え、GABA(ギャバ)サプリメントに興味をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
GABAは、私たちの体内で重要な役割を果たすアミノ酸の一種です。

この記事では、GABAが血圧に与える影響について解説します。
また、GABAを効果的に摂取する方法や、摂取する際の注意点まで深掘りしていきます。

GABA(ギャバ)とは?その基本的な働きと血圧への関連

まずは、GABAとは何か、そしてなぜ血圧との関連が注目されるのかについて解説します。

GABA(ガンマ-アミノ酪酸)の基本知識

GABAは「Gamma-AminoButyric Acid」の略称で、日本語では「ガンマ-アミノ酪酸」と呼ばれます。
これは、私たちの脳や脊髄に存在する主要な抑制性神経伝達物質の一つです。
神経伝達物質とは、神経細胞間で情報を伝達する役割を持つ化学物質のこと。GABAは、興奮した神経を鎮め、リラックス効果をもたらす働きがあるとされています。
私たちの体内でも合成されますが、加齢やストレスなどによって不足しやすくなると言われています。

GABAが血圧に注目される理由:自律神経への作用

GABAが血圧に良い影響を与えると考えられている主な理由は、その自律神経への作用にあります。

人間の体には、自分の意思とは関係なく内臓の働きや体温、心拍などを調整する「自律神経」が備わっています。
自律神経には、身体を活動的にする「交感神経」と、リラックスさせる「副交感神経」の2種類があり、この2つのバランスが重要です。

ストレスを感じると、交感神経が優位になり、心拍数の上昇や血管の収縮が起こり、結果として血圧が上昇しやすくなります。
GABAは、この過剰な交感神経の働きを抑制し、副交感神経を優位にすることで、心身をリラックスさせると考えられています。
このリラックス効果が、血管の拡張を促し、血圧の安定に寄与する可能性があるとして、GABAは血圧管理の分野で注目されているようです。

GABAと血圧に関する科学的根拠:臨床研究から見えてくる効果

統計データイメージ

では、GABAが実際に血圧にどのような影響を与えるのか、これまでの研究では何が分かっているのでしょうか。

臨床試験による血圧降下作用の示唆

GABAの血圧降下作用については、複数の臨床試験が実施されています。
これらの研究では、GABAを摂取した群とプラセボ(偽薬)を摂取した群で比較が行われ、以下のような結果が報告されているようです。

  • 軽度高血圧者への効果
    軽度高血圧の被験者を対象とした研究では、GABAを含む食品やサプリメントを継続的に摂取することで、収縮期血圧(上の血圧)および拡張期血圧(下の血圧)の両方が有意に低下したという報告があります。
  • ストレスによる血圧上昇の抑制
    ストレス負荷時に血圧が上昇しやすい人に対し、GABAを摂取させることで、血圧の急激な上昇が抑制されたという研究結果も示されています。
    これは、GABAのリラックス効果が、ストレス応答による血管収縮を和らげた可能性を示唆しています。
  • 高血圧治療薬との併用
    一部の研究では、高血圧治療薬とGABAの併用が、より効果的な血圧管理に繋がる可能性も示唆されています。
    ただし、これは医師の指導のもとで行われるべきであり、自己判断での併用は避けるべきです。

GABAの作用メカニズム:腎臓や血管への直接的な影響も

GABAの血圧降下作用は、自律神経のバランス調整だけでなく、腎臓や血管への直接的な作用も関連していると考えられています。

  • 腎臓でのナトリウム排泄促進: GABAは、腎臓におけるナトリウム(塩分)の再吸収を抑制し、尿中へのナトリウム排泄を促進することで、血圧を下げる効果が期待されています。塩分の過剰摂取は高血圧の大きな要因の一つなので、このメカニズムはGABAの血圧降下作用において重要です。
  • 血管内皮機能の改善: 血管の内側を覆う血管内皮細胞は、血管を広げる作用を持つ一酸化窒素(NO)を産生します。GABAが血管内皮機能を改善し、NOの産生を促進することで、血管が適切に拡張し、血圧が安定するといった可能性も研究されています。

【重要】注意点:GABAは「治療薬」ではない

これらの研究結果はGABAの血圧降下作用を示唆するものではありますが、GABAは高血圧の「治療薬」ではありません。
あくまで健康補助食品として、日々の食生活の改善や適度な運動と合わせて活用することで、血圧管理の一助となる可能性がある、という位置づけであることを理解しておくことが重要です。

GABAを効果的に摂取する方法:食品からサプリメントまで

GABAを摂取する方法はいくつかあります。
それぞれの特徴を理解し、ご自身に合った方法でGABAを生活に取り入れてみましょう。

1. GABAを多く含む食品からの摂取

GABAは、私たちの身近な食品にも含まれています。
日々の食事に取り入れることで、自然な形でGABAを摂取できます。

  • 発芽玄米: 精白米に比べてGABAを豊富に含んでいます。普段のご飯を発芽玄米に変えるだけでも、GABA摂取量を増やすことができます。
  • トマト、ナス、カボチャなどの野菜: これらの野菜にもGABAが含まれています。特にトマトは、GABA含有量が多いことで知られています。
  • 漬物、味噌、醤油などの発酵食品: 納豆やキムチ、ヨーグルトなどの発酵食品は、発酵過程で微生物の働きによりGABAが生成されることがあります。
  • カカオ(チョコレート): カカオ豆にもGABAが含まれています。高カカオチョコレートなどは、GABA摂取源の一つになります。

メリット: 食事を通して自然に摂取できる為、他の栄養素も同時に摂れる。 デメリット: 摂取量が不安定になりやすい。GABAを効率的に摂取するには、ある程度の量を食べ続ける必要がある。

2. GABA配合の機能性表示食品・サプリメントの活用

サプリメント

より手軽に、そして確実にGABAを摂取したい場合は、GABAを配合した機能性表示食品やサプリメントの活用が有効です。
これらは、GABAの含有量が明確に表示されており、効率的な摂取が可能です。

  • 機能性表示食品
    「血圧が高めの方に適しています」といった表示が認められている食品です。
    科学的根拠に基づいた機能性が表示されているので、安心して選ぶことができます。
  • サプリメント
    粒状、カプセル状、ドリンクタイプなど様々な形態があります。

メリット
GABAの摂取量をコントロールしやすい。手軽に継続しやすい。

デメリット
種類が多く、どれを選べば良いか迷うことがある。食品からの摂取に比べ、コストがかかる場合がある。

【選び方のポイント】

  • GABAの含有量
    目的に合ったGABA含有量であるかを確認しましょう。
    臨床試験で効果が報告されている量の目安は、1日あたり10〜20mg程度とされていますが、製品によって様々です。
  • 製品の信頼性
    GMP(Good Manufacturing Practice)認定工場で製造されているか、品質管理が徹底されているかなどを確認しましょう。
  • その他の成分
    血圧対策として、GABA以外にカリウムや食物繊維、ポリフェノールなどの成分が配合されているものもあります。
    自身の不足している栄養素や目的に合わせて検討しましょう。

GABAを摂取する際の注意点と高血圧対策の全体像

書類を開いている女性

GABAは安全性の高い成分とされていますが、摂取する上で知っておくべき注意点と、高血圧対策におけるGABAの位置づけを理解することが重要です。

GABA摂取における注意点

  • 過剰摂取の懸念: GABAは水溶性であり、過剰に摂取しても比較的体外へ排出されやすいとされています。しかし、念のため各製品の推奨摂取量を守りましょう。大量摂取による健康被害の報告は少ないものの、体質によっては、眠気や胃部不快感などが現れる可能性もゼロではありません。
  • 医薬品との相互作用: 高血圧治療薬を服用している方は、GABAサプリメントを摂取する前に必ず医師や薬剤師に相談してください。GABAが血圧を下げすぎたり、薬の効果に影響を与えたりする可能性も考えられます。
  • 妊娠中・授乳中の方: 妊娠中や授乳中の方のGABA摂取に関する安全性データは十分ではありません。摂取を検討している場合は、必ず医師に相談しましょう。

高血圧対策の全体像とGABAの位置づけ

GABAは血圧管理の一助となる可能性を秘めていますが、高血圧対策はGABAだけに頼るものではありません。
最も重要なのは、生活習慣全体の改善です。

  • 食生活の改善:
    • 減塩: 日本人は塩分摂取量が多い傾向にあります。加工食品や外食を控え、出汁や香辛料を活かした薄味を心がけましょう。
    • 野菜・果物の積極的摂取: カリウム、食物繊維、ビタミンなどが豊富で、血圧を安定させる効果が期待できます。
    • DASH食: 高血圧予防に効果的な食事法として、「DASH食(Dietary Approaches to Stop Hypertension)」が推奨されています。これは、野菜、果物、低脂肪乳製品、全粒穀物を多く摂り、赤肉、加工食品、甘いものを控える食事法です。
  • 適度な運動: ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動を週3回以上、合計150分以上行うことが推奨されています。
  • 禁煙・節酒: 喫煙は血管を収縮させ、血圧を上昇させます。過度な飲酒も血圧を上げる原因となります。
  • ストレス管理: ストレスは血圧を上昇させる大きな要因です。趣味やリラックスできる時間を作るなど、ストレスを上手に解消する方法を見つけましょう。GABAは、このストレス管理の一環としても役立つ可能性があります。
  • 十分な睡眠: 睡眠不足は自律神経の乱れに繋がり、血圧上昇のリスクを高めます。質の良い睡眠を確保しましょう。
  • 定期的な血圧測定: 自身の血圧の状態を把握し、変化に気づく為にも、家庭での血圧測定を習慣にしましょう。

GABAは、これらの基本的な高血圧対策を補完する「プラスアルファ」の選択肢として捉えることが賢明です。

まとめ:GABAを上手に活用し、健やかな血圧を維持しよう

GABAは、脳の興奮を鎮める抑制性神経伝達物質であり、そのリラックス効果を通じて自律神経のバランスを整え、結果として血圧の安定に寄与する可能性が示唆されています。
複数の臨床研究で血圧降下作用が報告されており、腎臓でのナトリウム排泄促進や血管内皮機能の改善といったメカカルズムも解明されつつあるようです。

しかし、GABAはあくまで健康補助食品であり、高血圧の治療薬ではありません。
日々の食生活の改善、適度な運動、ストレス管理といった基本的な生活習慣の改善を土台とした上で、GABAを多く含む食品や、信頼できる機能性表示食品・サプリメントを賢く活用することが、血圧を健やかに保つ為の鍵となります。

血圧が気になる方は、まずは自身の生活習慣を見直し、その上でGABAの摂取を検討してみてはいかがでしょうか。
迷った場合は、かかりつけの医師や管理栄養士に相談し、適切なアドバイスを受けるようにしましょう。